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梅雨時のさっぱりしない天気の中降り出した雨の中傘も差さずに立ち尽くす青年が一人。
「ったくついてないな。折角の晴れ間に出掛ければ雨に降られるし」
青年:圭介は傘を買うため手頃な店を探すでも無く、歩道に立ち尽くしてただ雨雲を見つめる。
「三日降り続いてまだ降るのかよ。いい加減梅雨明けしてほしい……ん?」
何か違和感を感じて足元を見ると一匹の子猫が圭介の足に体を擦り付けていた。
「ん?なんだ、雨宿りしたいのか?残念だが傘は無いぞ。他をあたりな」
擦り寄って来た子猫の頭を撫でてやりながら呟く圭介。
そのとき、車道を挟んで向かい側の歩道から猫の鳴き声が聞こえた。
足元にいた子猫はその鳴き声に反応し、顔を上げ向かいの歩道の方を見つめている。
「猫の鳴き声、お前の仲間か?お、あいつかな?」
圭介も子猫と同じように向かい側の歩道に声の主を探す。
程なくして足元にいる子猫よりも少し大きめの子猫を発見した。
未だに向かい側の子猫を見つけられない足元の子猫の頭を軽く叩き向かいの歩道を指差す。
すると子猫もようやく気づいたのか圭介の顔を見てお礼のつもりなのか「にゃあ」と鳴いて向かいの歩道へと歩き出す。
その様子をしばらく眺めていた圭介だが左右も確認せずに車の行き交う車道に猫が走り出した瞬間には自身も一緒に走り出していた。
「あの猫っ、何考えてやがるっ。車が危ないとか分かんないのかよっ」
圭介が車道の手前までたどり着いたときには子猫は既に車道の中央あたりにいて、車に驚いて動けずにいた。
圭介は状況を確認すると車が迫っているにもかかわらず車道へと飛び出し子猫の元へと向かう。
「間に合えよっ」
迫り来る車のことなど気にも留めないで子猫を抱きかかえると体勢を崩したまま車道の端まで地面を転がる。
縁石で背中を強打し、悶絶していると背後から大きなクラクションの音が鳴り響く。ほんとにギリギリのところだったようだ。
「いってぇ、なんとか無事みたいだな。お前も無事か?」
背中を押さえながら何とか歩道に非難し抱えている子猫を見やる。子猫は何が起こったのか分からない様子で圭介の顔を舐めてくる。
しばらく子猫とじゃれているともう一匹の子猫が近寄ってきていたのに気付く。
「ほら、舐めるのはもういいから。お仲間のお迎えだぞ、車には気をつけろよ?」
首根っこを掴んで言い聞かせ、子猫を地面に下すと直ぐに仲間が近寄り何か話しているような仕草を見せる。
圭介はしばらくその様子を眺めていたが雨が本格的になってきたため立ち去ろうとする、と背後からの二つの泣き声に呼び止められる。
しかし、振り返ることなく後ろ向きに手を振りながら圭介は歩いていってしまった。子猫たちもまた圭介が見えなくなると別の方向へと歩いていった。

「あ~、今日も雨か…今日で何日目だよ…」
相変わらず梅雨明けしておらず既に一週間は聞いている雨音に呟く圭介。
昨日と変わらず聞こえる雨音に目を覚まし、特に何をするでもなくベッドの上に寝転がっている。
まだ早い時間だったため二度寝をしようとも考えたが違うことが頭をよぎる。結局ベッドに寝転び見慣れた天井を見つめることに終始している。
「こんな時に考えるのは今更どうでもいいことだけか……くそっ」
先日別れ話を切り出された彼女とのやりとりを思い出し悪態をつく圭介。寝返りを打ち目の前の壁を見つめる。
考えないようにと目をつぶるが浮かぶのは彼女の笑顔。どうやらすぐに忘れることは無理なようだ。
蒸し暑いため覚えた喉の渇きに耐えられず、二度寝を諦めベッドを降りて冷蔵庫へと向かう。
冷やされたペットボトルのお茶を取り出し一口飲み込むと、だいぶ思考が落ち着いてきたようだ。
「朝飯には遅いし昼飯には早いか…まとめてでいいか。…なんも無いな」
しばらく外食が続いていたため冷蔵庫の中には飲み物しか入っていなかった。
そもそも、彼女と付き合っていたときは圭介の部屋で同棲同然の生活をしていたため食材の心配をしたことがほとんど無かった。
圭介もその事に気づいたのかばつの悪そうな顔で冷蔵庫の扉を閉める。
「……ずっと頼りっぱなしだったか。そりゃ愛想もつかされるかな…」
しばらく冷蔵庫にもたれ掛かる圭介。すると不意に玄関の方でドアに何かがぶつかったような音がする。
「なんだぁ?近所で引越しでもしてるのか?傷とか付いてないだろうな」
何が行われているかよりもドアの傷の有無の方が気になる圭介。すぐに玄関に向かい覗き穴から外の様子を伺う。
「…特に人が行き来している様子は無いと。じゃあさっきのはいったい何の音だったんだ?」
考えを呟きながらドアノブに手をかけると、今度はチャイムが連続で押されているようで鳴り止まない。
「今度はチャイムか。…新手の嫌がらせか?」
明らかに普通とは違う状況に普段ならゆっくりと開けるドアをそこまで危険ではない範囲で力を込めて開ける。
「はいはい、どちらさまですかぁ?」
『ゴッ』
するとドアが開ききる前に何かにぶつかった感覚で止まってしまう。しかし、特にドアの向こうからの反応も無い。
圭介は恐る恐る開いたドアの隙間から体を出しドアの向こう側を確認する。
「……おんな…のこ?…え~と大丈夫?」
「ふぁい…だいじょうぶれふ……」
ドアの向こうには毛布のような布を羽織った女の子が鼻を押さえて立っていた。どうやら開いてきたドアにぶつけたらしい。
圭介はまさかいたずらの主がこのような少女とは思っておらず、どのように対処していいか想定していなかった。
少女にどのように接するか考えている間にぶつけた鼻の痛みも引いたのか少女は圭介をじっと見つめていた。
圭介もようやく落ち着きを取り戻し、少女が自分を見つめていることに気づいた。
「えっと、うちに何か用かな?」
「え?…あ……その、えと…」
「あの、さ…中でお話しないかな?」
話しかけられうろたえる少女。圭介はこのまま話していてもどうしようもないと思い室内に入ることを提案したのだった。
「あ…う…えと…はい」
少女は少しの迷いの後に圭介の提案に頷き圭介の後に続いて部屋へと入っていった。


 

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